ヘビさんのお客様 ショートストーリー
山の麓にお花畑が広がっていて、多くの生き物達が仲良く暮らしていました。怖いヘビさんもいましたが、付かず離れずの微妙な距離感を保ちながら暮らしていたのです。
ある日、お花畑の真ん中に細い道が出来ていました。ヘビさんが通った後みたいでした。ヘビさんの仲間もたくさん通って行ったのかしら。そう思っていました。
ても、この前より少し長く深くなって幅も広がっています。
そしてそれは当然のことでした。
たくさんのヘビさんが大仕事のために集められたそうですから。
しばらくすると雨が降り、道は小さな川になりました。雨は毎日降り続いています。小さな魚やカエル達が泳いでいくような、流されていくような。
小さな川は氾濫する事も無く、ただ静かに流れて行きます。
毎日毎日、川は少しづつ川幅も長さも深さも増していきました。川の行き先は小さな沼。これも日々大きく深くなっていきました。沼には結構大きな島のようなものも出来ていて、橋が架かっています。
「では、あの沼はヘビさんの家ですか?」
ヘビさんは陸の生き物ですが、泳ぎは得意です。でも住む事はできません。
「いえ、近々大切なお客様が見えるので、その準備です」
ヘビさんのお客様って、一体どなたなのでしょう。あの怖いもの知らずのヘビさんが大切なお客様なんて言うなんて、興味深々ですが、ヘビさんより恐ろしい者かもしれません。
逃げ出した方が良いかも、なんて話がお花畑に広がっていきました。
そしてその日がやって来たのだとみんなは思いました。朝からヘビさんがソワソワしていましたから。
お花畑に住んでいる仲間も、ドキドキしながらヘビさんの動きを観察していたのです。
辺りがだんだん薄暗くなり、雨と稲妻が一度に辺りを支配した。
激しい雨と耳をつんざく雷鳴がとどろき渡る。
誰もがその場から逃れようとするが、足がすくんで動けない。
あ、大蛇が現れた。空飛ぶ大蛇!
ヘビさんだけでも充分怖いのに大蛇なんて!
お花畑の住人たちは大騒動です。
だけど大蛇はヘビさんにお届け物を渡しただけで去っていきました。
「それにしても大蛇さんが配達員になるなんて、時代も変わったのね」
「そうよね、ビックリよ。で、さあ。ヘビさんちには一体何が届いたのかしら?」
お花畑の住人達はまたもや興味津々です。
そこへヘビさんがやって来ました。
お花畑の生き物たちはさっそくヘビさんに質問しました。
「ヘビさんに大蛇は何を届けたのですか?たくさんあるようですね」
「皆さんには内緒にしたかったのですが、パーティーをやろうと思っています。仲間の蛇たちにも随分世話になりましたからね。そのための食材をたくさん注文したのです」
ヘビの仲間たちが大集合するのでは?沢山のヘビ!お花畑の仲間たちは恐ろしくて顔を見合わせました。
次の日、お花畑の住人達にパーティーへの招待状が届きました。その招待状には
『お花畑の仲間達とヘビ達との仲良しパーティーへのご招待』と書いてありました。場所は沼の中島。
みんなワクワクしています。大切なお客様ってお花畑の住人達のことだったのですね。
その日のパーティーは大盛況だったそうですよ。
了 1270文字
*ヘビの仲間には、カエルや魚を好んで食べるヘビもいるそうです。ヘビの食性も色々なんですね。
