【君の知らない】
【君の知らない】
三題噺:冷蔵庫/靴音/星座
※本作は楽曲「君の知らない物語」をモチーフにした三題噺です
「母さん、今夜は遅くなる。クラブのみんなと星座、見に行くから。夜ご飯いらない」
冷蔵庫からアイスを取り出しながら母さんに言う。
「はいはい。気をつけなさいよ」
「うん」
ボクはアイスを頬張りながら、私服をアレコレ引っ張り出してきた。
「アレがデネブ、アルタイル、ベガ」
君は指さす夏の大三角。覚えて空を見る。
観測用の天文台への道すがら。
隣のアイツに、楽しそうに説明しながら。
ふたりが歩く靴音は重なって。
ボクは少し離れて、追いかける。
胸を刺す痛みは増していく。
君の隣がいい。
どうやらボクは、デネブだ。
